さわや書店 おすすめ本

本当は、目的がなくても定期的に店内をぶらぶらし、
興味のある本もない本も均等に眺めながら歩く事を一番お勧めします。
お客様が本を通して、大切な一瞬に出会えますように。

  • no.11
    2016/7/7UP

    フェザン店・長江おすすめ!

    Self-Reference
    ENGINE 円城塔/ハヤカワ文庫

    この作品の紹介をするのは、僕には難しい。難しい作品だ、という意味ではない。メチャクチャ面白い作品なのだけど、この作品の面白さを言葉で伝えることは僕には難しいのだ。
    読み終えた感想は、「クラクラする」というものだ。著者が生み出す芳醇な世界観に呑み込まれ、文章を読んでいるだけなのに酔っ払っているような感覚になる。
    18編の短編が収録された作品だ。それぞれの短編には繋がりはないが、どの短編も、「イベント」という、時間の束が完全にごちゃごちゃになる出来事を経験した世界の中で起こっている話だ、という共通点がある。よく分からない話も多いが、何故か惹き込まれてしまう、不思議な魅力を持った作品だ。芥川賞作家・円城塔のデビュー作であり、デビュー作とは思えない完成度を持った作品である。

  • no.10
    2016/7/7UP

    フェザン店・長江おすすめ!

    助けてと言えない
    孤立する三十代 NHKクローズアップ現代取材班/文藝春秋

    2009年。衝撃的な出来事が起こった。39歳の男性が、自らの窮状を周囲の誰にも明かさないまま、自宅で餓死したのだ。親類に宛てた手紙に、「助けて」とだけ書かれていたという。
    取材に当たったNHK北九州放送局の取材班は、当初、何故その男性が周囲に助けを求めなかったのか理解できずにいた。彼には、親友と呼べる存在がいた。また、数カ月前まできちんと働いていたにもかかわらず、職場の誰も彼の状況を知らないままだったのだ。
    彼らは、「何故『助けて』と言えなかったのか」を突き詰めるべく取材を進め、その中で、現代の30代が「自己責任」という言葉にがんじがらめにされていることを知るに至る。苦しい状況は、すべて自分の責任だ。だから彼らは、誰にも助けを求められない…。
    クローズアップ現代での放送後、圧倒的な反響を記録したというこのテーマ。あなたにとっても、無関係な問題ではきっとない。

  • no.09
    2016/7/7UP

    フェザン店・長江おすすめ!

    アップルを創った怪物
    もうひとりの創業者、
    ウォズニアック自伝 スティーブ・ウォズニアック/ダイヤモンド社

    Macintosh、ipod、iPhoneなど、世界を変える製品を生み出し続けた「アップル」の顔と言えば、スティーブ・ジョブズであろう。彼の波瀾万丈の人生は、様々な形で書籍化され、また映画にもなった。
    しかし「アップル」には、もう一人のスティーブがいた。スティーブ・ウォズニアックである。
    彼はエンジニアの世界では伝説的な人物だ。何故なら、僕らが使っているパソコンの原型を、たった一人で生み出してしまった天才なのだ。ウォズニアックが作り、ジョブズが売る。そういう形で「アップル」は世界的な大企業へと成長した。
    本書は、ジョブズと比べ表舞台に姿を現すことの少ないもう一人の天才・ウォズニアックの生涯を描き出す作品だ。ジョブズとはまたタイプの違った、破天荒な男の生き様に度肝を抜かれる。

  • no.08
    2016/7/7UP

    フェザン店・長江おすすめ!

    セーラー服の歌人鳥居
    拾った新聞で
    字を覚えた
    ホームレス少女の物語 岩岡千景/KADOKAWA

    鳥居、というペンネームで活動する歌人がいる。既に成人しているが、今でもセーラー服を着て活動をしている。小中学校での勉強をやり直す場を確保したい、という気持ちからだ。
    鳥居は、シングルマザーだった母が衰弱し死んでいくのを眺め、預けられた児童養護施設で壮絶ないじめを経験し、不登校のまま中学を卒業し、現在PTSDと診断され就業出来ないでいる。拾った新聞で字を覚え、未だに「10%オフ」の意味が理解できない彼女は、短歌と出会ったことで人生が変わった。
    お金もなく、創作に恐怖を感じ続けている鳥居が、それでも短歌を作り続けるのは、芸術を支えにしか生きられない自分のような人がいることを知っているからだ。「ずっと、絶望する人の側にいたい」と決意する鳥居の、壮絶な人生の物語。生きる勇気をもらえます。

  • no.07
    2016/7/7UP

    フェザン店・長江おすすめ!

    年収150万円で
    僕らは自由に
    生きていく イケダハヤト/星海社新書

    著者は、自らの意志でサラリーマンを三年で辞め、現在はブロガーとして、奥さんと子どもとの生活を成り立たせている。本書は、そんな著者が提唱する「働き方」と「お金」の本である。
    これからの社会は間違いなく下り坂であり、多くの人にとって貧乏がデフォルトになっていく。そんな世の中で、お金だけに比重を置いた生き方をしていていいのか?と著者は問いかける。
    『お金とは、人とつながらないための「免罪符」』
    『近い将来、孤独でいることは、金持ちの道楽になっていくはずです』
    著者はそんな風に語る。
    働いて、生活するというただそれだけのことに疲弊している方。本書を読んで、「働き方」と「お金」に関する考え方を改めてみませんか?

  • no.06
    2016/7/7UP

    フェザン店・長江おすすめ!

    進化しすぎた脳 池谷裕二/朝日出版社

    池谷裕二は、難しそうな内容を易しく面白く伝えることが出来る科学者である。本書も、元になっているのは、中高生に向けて行った講演だ。文章は話し言葉で書かれているし、錯視や恋愛など、身近な話題を入り口に話を展開するので、とても読みやすい。
    科学において、宇宙と深海と脳が最後のフロンティアだと言われる。それぐらい、脳というのは奥が深く、複雑で、捉えにくい存在だ。それでも、様々な研究によって、脳に関する断片的な様々な知識が蓄積されてきた。普段「脳」というものを殊更に意識することはないだろうが、最先端の研究結果を読めば、あなたもきっと脳に関心を持つようになることだろう。

  • no.05
    2016/7/7UP

    フェザン店・長江おすすめ!

    僕たちは島で、
    未来を見ることにした 阿部裕志+信岡良亮(株式会社 巡の環)/木楽舎

    島根県の隠岐諸島に、海士町という、全国的に注目を集めている島がある。この島には、起業をするために全国から多くの若者が集まっているのだ。人口流出と財政破綻の危機を島全体で解決すべく、全国でも類を見ないチャレンジを続けている。
    そんな島で「持続可能な社会」を作る一員となるために、そしてそんな社会でお金を稼ぎ生活し続ける実践者となるために、都会での生活を捨て海士町にやってきた二人。彼らが起業した「巡りの環」の代表取締役である阿部裕志はなんと、トヨタを辞めて海士町にやってきた。人口減少、少子高齢化、財政難…海士町で起きている問題はどれも、今後日本全体で間違いなく顕在化する問題だ。その最先端の課題にいち早く取り組む彼らの生き方は、今後の日本の行く末をも左右するに違いない。

  • no.04
    2016/7/7UP

    フェザン店・長江おすすめ!

    努力する人間に
    なってはいけない
    学校と仕事と
    社会の新人論 芦田宏直/ロゼッタストーン

    実にインパクトのあるタイトルだ。しかし誤解してはいけない。本書は、怠けることを勧める本では決してない。むしろその逆である。このタイトルは、著者が専門学校の校長として、入学式や卒業式で語った話に由来する。仕事をすること、お金をいただくこと、社会の中で何らかの役に立つこと、価値のある人間として存在すること。そのためにどうするべきなのかを著者は、これから学校で学ぼうとする者、そしてこれから社会に飛び出していこうとする者に伝えようとする。
    仕事に関わる話だけではなく、著者の様々な思索が盛り込まれた作品だが、特に新しい世界へと飛び込んでいく人に是非読んでもらいたい一冊だ。

  • no.03
    2016/7/7UP

    フェザン店・長江おすすめ!

    宇宙はなぜ
    このような宇宙なのか
    人間原理と宇宙論 青木薫/講談社現代新書

    宇宙論の世界に、「人間原理」という考え方がある。宇宙を理解するためにはそもそも、人間の存在を考慮に入れなければならない。もっと言えば、宇宙は、人間が誕生するように調整されて生まれた、という考え方だ。本書は、「人間原理」という、物理学の中でもかなり特殊な考え方を中心に、宇宙というものがこれまでどのように捉えられてきたのか、その歴史を紐解く作品だ。
    「宇宙はなぜこのような宇宙なのか?」という問いは、アインシュタインを始め多くの物理学者が抱いてきた疑問だ。宇宙と人間との関係性は、時代と共に変化してきた。その変化を、科学ノンフィクションの訳者として著名な著者が描き出す、知的好奇心に満ち溢れた一冊だ。

  • no.02
    2016/7/7UP

    フェザン店 田口おすすめ!

    謎のアジア納豆
    そして帰ってきた
    〈日本納豆〉 高野秀行/新潮社

    日本人の朝食は?と問いかけると、納豆を思い浮かべる方が多いかもしれない。納豆を日本独自の食品だと認識している方も多いだろう。
    さにあらず!
    日本を飛び出した著者が納豆文化を追い求め向かったのは、ミャンマー、ネパール、インド、中国、ブータン、ラオスという納豆先進地・アジア大陸だった。納豆とは何か、どこでどのようにして誕生し広まったのかを探る先に、その地の民族が育んできた歴史と文化を垣間見ることが出来る。もはや、探訪ルポの域を越えた文明論でもあるのだ。小さな大豆にこんなにも壮大な物語があったなんて。本書を読み、納豆の奥深さに驚き、笑い、悶絶してください。
    納豆の起源を探した著者が、アジア各国での納豆のルーツを探す旅から帰国し、向かったのは東北の地でした。秋田県県南の納豆汁、そしてわれらが岩手県西和賀町沢内に伝わる雪納豆だったのです!顛末は、ぜひ本書を読んでお楽しみ下さいませ。