さわや書店 おすすめ本
本当は、目的がなくても定期的に店内をぶらぶらし、
興味のある本もない本も均等に眺めながら歩く事を一番お勧めします。
お客様が本を通して、大切な一瞬に出会えますように。
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no.3232019/4/13UP
フェザン店・竹内おすすめ!
赤ちゃんのいる暮らし 新版 毛利子来/ちくま文庫
はじめての赤ちゃんを育てるときに、この本に出会えて本当に良かった。
てんぱったりイライラしたときに毛利先生の言葉が癒しになり心が落ち着きました。
赤ちゃんが産まれた、産む予定の人への贈り物にも最適です! -
no.3222019/4/12UP
本店・総務部Aおすすめ!
外道クライマー 宮城公博/集英社文庫
最大級の賛辞と羨望と畏怖と敬意を込めて言う。なんて気持ちのいい山バカなんだろう。そのバカっぷりが振り切れている。これは外道ではなく正道原理主義だ。
本書を読むと山をやっていたなんて軽々に言えるものではないが、少しでも経験のある者なら、なんとなく本書の言わんとするところはわかると思う。
それにしても、著者と一緒にジャングルを彷徨う高柳という人物。これだけけちょんけちょんに書くことができるのは、逆に余程の信頼関係がなければなかなかできるものではないと思う。高柳氏側の反論も聞いてみたい。
沢登りを専門にやる人のことを沢ヤという。うちの店名も沢ヤ書店の方がシブいな。 -
no.3212019/4/4UP
フェザン店・竹内おすすめ!
ぼくが子どものころ、ほしかった親になる。 幡野広志/PHP研究所
2歳の息子を残して死ぬ運命ってだけでもう耐えられない
35歳で余命宣告を受けた著者が2歳の息子に残したい教えを書いた本。
子どもはまだ理解できないだろうけど、「死」自体もわからないだろうけど、何かを残したいという思いに鼻腔を濡らさずにはいられない。 -
no.3202019/4/4UP
本店・佐藤おすすめ!
Life ライフ 作 くすのきしげのり 絵 松本春野/瑞雲社
心に花が咲くような物語
町外れにある小さな店、life。でも誰かが働いているわけでも、何かを売っているわけでもありません。
お客は、気に入ったものを持ち帰るかわりに、自分には必要なくなったものを置いていくのです。
訪れる人それぞれの人生が少しずつ交わり生まれる、喜びの物語です。 -
no.3192019/4/4UP
本店・大池おすすめ!
珈琲が呼ぶ 片岡義男/光文社
喫茶店はスマホより本が似合う
喫茶店で珈琲を飲みボーっとしている時間が好きだ。少し時間がたつと本を読みたくなる。小説よりエッセイが合っている。おすすめは片山義男さん。
この本は珈琲・音楽・映画の素敵な話が満載です。この本片手に喫茶店で贅沢な時間を過してください。 -
no.3182019/4/4UP
外商部・栗澤おすすめ!
あわいゆくころ 瀬尾夏美/晶文社
何度でも読み返して下さい
アーティストである著者が、震災後に書きとめていたツイートやエッセイをまとめた本書。日記文学という手法で、被災地のありのままの様子を伝えています。
震災から年月を重ね、書店の店頭から関連本が減りつつある今日。
手元に置き、折に触れて読み返したくなる一冊です。 -
no.3172019/4/4UP
松園店・山崎おすすめ!
おとなの週刊現代 2019 vol.1 週刊現代別冊/講談社
シニアが気になるあれこれが満載
週刊現代から特に好評だった中高年向け記事の総集編。
自身や家族を失った時に慌てないため今やっておくことや、遺産相続、年金、保険などの知識や後悔しない対処方法などの他、認知症について、名医が教える手術や薬が本当に必要なものなのかなどが1冊に。 -
no.3162019/4/1UP
本店・総務部Aおすすめ!
ティンカー、テイラー、
ソルジャー、スパイ ジョン・ル・カレ/ハヤカワ文庫『裏切りのサーカス』という映画がある。
一度観てよくわからず、二度観てもまだよくわからなかったが、その作り込んだに違いない重厚な雰囲気にただならぬものを感じ、さらに名作として名高い原作の本書を読んでみた。
この解らなさは細部にある。つまり話の筋は大体解るが、底が見えない緻密さと奥深さがあり、そこが魅力のひとつでもある。そもそもわかりやすいスパイなど、その職務上本質的にありえない。東西冷戦時の英国諜報部〈サーカス〉を舞台に繰り広げられるプロ同士の情報戦。あらゆるプロフェッショナルとは、実は派手なものとは対極にある、地味な仕事一つひとつの確かさにあるのではないだろうか。
映画を観て、本を読み終えてもなお、また始めから読み返してみたくなる。そしていつ読んでもまた、新たな発見がある。優れた文学作品とはそういうものなのだろう。
魂は細部に宿っている。 -
no.3152019/3/21UP
本店・総務部Aおすすめ!
新版 ダメな議論 飯田泰之/ちくま文庫
10年、あるいは20年というスパンで考えると、実際のところ本当はどうだったのかを示す各種データが出揃い、事実がようやく明らかになるということがある。その意味では平成も終えようとしている今、出版されてから12年後の文庫化というのは過去を冷静に振り返り分析することのできる、いい期間なのかもしれない。
本書に載っている「ダメな議論」の例文が非常にもっともらしく、今でも何気なく読む分には思わず納得してしまいそうなものが多い。現在では明確に事実誤認とされるものであったとしても、作文しだいでは妙な信憑性が生まれてくるから不思議である。なんとなく「ダメな議論」に押し流されてしまわないように、本書では5つのチェックポイントを設定し解説している。
文庫化にあたり、「ネット時代のダメな議論」を加筆。ネットでは自分にとっての心地いい議論だけがどんどん集まってくるので、偏りのある一部の常識だけが先鋭化してしまう傾向があるという。たまには外の空気を吸いに街の本屋へ足を運び、ざっと全体を眺めながら興味の範囲外にも触れてみる事が、軽い足の運動とともに頭をニュートラルに切り替える最善の方法だと思うが、どうか。 -
no.3142019/3/12UP
本店・総務部Aおすすめ!
女たちよ! 伊丹十三/新潮文庫
あらゆるものの「本物」「正統」を語る1968年発行の本書。それが嫌味にならずに読めるのは「本物」を語りながら、その知識だけでなく人間の「本質」をも語っているからだと思う。なるほど、こんな面白いエッセイを書く人の映画が面白くないはずがない。『マルサの女』は文句なく面白いし、著者らしさが一番色濃く出ているのは『タンポポ』だろう。
先日、現在88歳のクリント・イーストウッドが監督・主演の映画『運び屋』を観に行った。過去の作品に比べると地味ながら、あらゆる無駄を削ぎ落としたような監督自身の集大成とも言える見事な作品であった。
伊丹十三が亡くなったのは1997年。もう20年以上も前になる。生きていれば今年86歳だったはずの著者が、もし今映画を撮るなら現代をどう切りとるのか。あるいは自分自身をどう表現するだろう。著者の作品をもっと観てみたかった。
ちなみに本書は女性に向けた本ではないものの、男女を問わず面白いはずであり、そう願いたいという事は申し添えておく。