さわや書店 おすすめ本

  • no.11
    2016/7/7UP

    フェザン店・長江おすすめ!

    Self-Reference
    ENGINE 円城塔/ハヤカワ文庫

    この作品の紹介をするのは、僕には難しい。難しい作品だ、という意味ではない。メチャクチャ面白い作品なのだけど、この作品の面白さを言葉で伝えることは僕には難しいのだ。
    読み終えた感想は、「クラクラする」というものだ。著者が生み出す芳醇な世界観に呑み込まれ、文章を読んでいるだけなのに酔っ払っているような感覚になる。
    18編の短編が収録された作品だ。それぞれの短編には繋がりはないが、どの短編も、「イベント」という、時間の束が完全にごちゃごちゃになる出来事を経験した世界の中で起こっている話だ、という共通点がある。よく分からない話も多いが、何故か惹き込まれてしまう、不思議な魅力を持った作品だ。芥川賞作家・円城塔のデビュー作であり、デビュー作とは思えない完成度を持った作品である。