さわや書店 おすすめ本

  • no.393
    2020/4/9UP

    本店・総務部Aおすすめ!

    2000年の桜庭和志 柳澤健/文藝春秋

    どんな業界であれ、自分の仕事によって生計を維持しそれで飯を食っている人のことを、プロと言うのだと思う。例えば格闘家であれば、どんなに強くて技に精通していたとしても、仕事にならなければそれはアマチュア競技か単なる乱暴者と変わりはない。
    護身術をルーツとして、どんな相手と戦っても負けない事を唯一無二の至上命令とするグレイシー一族と、片やプロレスラーとして、リアルファイトの中でも興行として観客を楽しませる試合を追求する桜庭和志。相反する2つの価値観を、お互いプロとしてのプライドを賭けて戦わせた伝説の試合が2000年5月1日、ホイス・グレイシーvs桜庭和志だ。
    秋田県出身の朴訥としたプロレスラーが最強の格闘家に自然体で立ち向かい、真剣勝負の中でも観客を沸かせるパフォーマンスを見せる度に、ハラハラさせられながら同時にわくわくもした。どんな試合でも勝ち負けに関係なく高いプロ意識を感じさせるその勇気に、同じ東北人として誇りに思う。