さわや書店 おすすめ本

  • no.335
    2019/6/24UP

    本店・総務部Aおすすめ!

    138億年宇宙の旅 クリストフ・ガルファール/ハヤカワ文庫NF

    あれはどこの山だったろう。北アルプス山中の高所で寒い夜だったと思う。ふとテントの外に出てみると、空一面が星だった。普通は見えない星と星の間までもがすべて星で、取り囲まれたような視界。ただ言葉を失い魅入っていると、思わず「オェッ」としたのを覚えている。今思うとあの反応は、一見して自分の理解の範囲を超えていると直感したからかもしれない。とにかく吐き気がするほど美しかった。
    本書は物理学としての宇宙のイメージをわかりやすく伝える本なので、読んでいる間中ずっと意識を宇宙へ持って行かれる。とはいえディープな論理物理学の内容も含まれるのでうまくイメージできない部分もあるが、それも含め頭がクラクラして宇宙酔いした気分になる。自分の理解を超えたイメージに、やはり「オェッ」とするのである。
    関係ないが、1988年に劇場公開されたアニメ『AKIRA』を思い出した。