さわや書店 おすすめ本

  • no.375
    2020/1/6UP

    本店・総務部Aおすすめ!

    11月に去りし者 ルー・バーニー/ハーパーBOOKS

    ある事件により命を狙われ、自らの犯罪組織内から逃げる幹部の男。一方、閉鎖的な田舎町から自分の人生を取り戻すために娘を連れて逃げる女。全く関係のない2人の逃避行が、人生の途中で一時交錯し、相手を、自分を見つめ直す。犯罪小説、旅、恋愛、成長小説、様々な要素が絡み合いながらも、互いに重い事情を抱えた2人には全体的にハードボイルドの空気が漂う。どちらかというとサブストーリーである女性の描き方が特に見事で、派手さはないものの抑制の効いた大人の物語をさりげなく引き立てている。
    ちなみに本書は「このミステリーがすごい!2020年版」の6位だそうだ。世の中のあらゆるランキングや賞は、必ずしも上位が優れていて下位はより劣るという意味ではない。当たり前だが、自分の好みは自分自身が決める以外に方法はないのである。ともあれ本書は自分にとって、好みの小説だった。