さわや書店 おすすめ本

  • no.309
    2019/2/5UP

    本店・総務部Aおすすめ!

    1964年のジャイアント馬場 柳澤健/双葉文庫

    小学生の頃、ゴールデンタイムに全日本プロレスが放送されていた。鶴田、天龍、ハンセン、ブロディ、ザ・グレート・カブキなどに興奮しながらテレビを見ていたのを思い出す。当時子ども心にも、ジャイアント馬場は偉いから他の選手が勝ってしまう訳にはいかないんだという事に薄々気付いていた。それでもなんとなく、それも含めて選手もファンも認め、楽しんでいたように思う。熱心なプロレスファンではなかったものの、その後も全日・新日・総合を問わず三沢、川田、長州、高田、桜庭などの試合を見て胸を熱くした。
    プロフェッショナル・レスリングが何をもって“プロフェッショナル”とするのか。馬場の歴史を通じてそのあたりの事が本書には書かれている。ただ強ければいい、勝てばいいというだけでは興行として成立せず、当然食べては行けない。観客に、また見に来たいと思わせることができるかどうか。その一点において選手は試合相手と戦う以上に観客と戦っているという。あらゆるエンターテイメントの本場アメリカで一番下からメインイベントまで経験したジャイアント馬場はそのあたりの感覚が身に染みていたのだろう。
    ラッシャー木村の馬場に対するマイクパフォーマンスなどをしみじみと思い出す。