さわや書店 おすすめ本

  • no.407
    2020/7/11UP

    本店・総務部Aおすすめ!

    鳥類学者だからって、
    鳥が好きだと思うなよ。 川上和人/新潮文庫

    鳥に興味がなくとも鳥と鳥類学者の生態を充分に面白く読むことができる。むしろ鳥類学者自身の生態を語ったエッセイと言うべきか。笑いを随所に散りばめた、いや、笑いの中に鳥学と真実を散りばめた名著である。コアな例え話の小ネタがいちいちハマるなあと思っていたら、著者は昭和48年生まれの同い歳だった。40~50代には一層ピンと来るものがあるだろう。ベストセラーになった本書は鳥学に興味のない一般への普及啓発、PR活動には大成功したと思われる。ユーモアのセンスが弊社フェザン店の竹内店長にもちょっと似ている気がするのは気のせいか。少なからず本屋にも似たシンパシーを感じる。コアすぎてちょっと何を言っているのかよく分らない部分もご愛嬌だ。
    全く種類は違うが野鳥をモチーフにした小説で、個人的にはどうしても思い出すのが「ダック・コール」(稲見一良/ハヤカワ文庫)だ。こちらは笑いの要素の全くないガリガリのハードボイルドだが、とっても心に残る芳醇な物語なので鳥好きもそうでない方もぜひご一読をお勧めしたい。