さわや書店 おすすめ本

  • no.95
    2016/11/29UP

    フェザン店・長江おすすめ!

    錯覚の科学 クリストファー・チャブリス+ダニエル・シモンズ/文春文庫

    本書は、心理学の世界に衝撃をもたらし、教科書に載るようになった驚くべき実験を行い有名になった二人の心理学者による、日常的な6つの錯覚を扱った作品だ。
    彼らが行った実験は、「selective attention test」でYouTubeで検索すれば出てくる。その映像は、6人が2つのバスケットボールをパスしている映像だ。映像を見て、白いTシャツを着た3人のパス回しの回数を正確にカウントするように指示が出る。
    実際にやってみると本当に驚かされる。人間の感覚がいかにあてにならないかがよく分かる。
    人間の知覚や記憶がこれほどまでに曖昧で信頼の置けないものであるという事実は、社会全体でもっと共有されるべきだろう。本書を読むと、僕たちが「揺るがない前提だ」と感じていることがことごとくひっくり返される。人間の能力への誤った信頼や評価が、様々な誤解や悲劇を生む可能性を持っていると思い知らされる。