さわや書店 おすすめ本

  • no.616
    2025/3/14UP

    本店・総務部Aおすすめ!

    中村文則/河出文庫

    著者デビュー作の本書。最近映画化された奥山和由監督『奇麗な、悪』は本書に併録されている「火」を原作としている。「銃」の映画化は理解できるが、「火」の映画化は正気の沙汰ではないように思う。かなり攻めた、挑発的な映画にならざるを得ないと思うが、どうだろう。観てみたいような観たくないような。関係ないけど1995年奥山和由製作総指揮の『GONIN』は凄かった。
    本書は淡々とした話の中に、圧倒的な熱量が籠っている。「銃」は精神がいつからか狂っていく様が恐ろしく、また「火」は信頼できない語り手の独白のみで構成されているのが恐ろしい。
    全く関係ないが、核抑止力のための核保有など冷静に考えてみればバカげた話で、なんと愚かな生命体だろうと、もし宇宙人がいるとすれば笑っていることだろう。人類は元々愚かさを内包している。「銃」の主人公のように、「持つ」という事により精神が微妙に狂ってくる可能性は十分に考えられる。今の世界情勢はすでに、「持つ」人間の精神に狂いが生じてしまっているのかもしれない。そんなことを思った。