さわや書店 おすすめ本

  • no.613
    2025/2/13UP

    本店・総務部Aおすすめ!

    金閣を焼かなければならぬ 内海健/河出文庫

    三島由紀夫の最高傑作「金閣寺」。そのモデルとなった実際の放火事件の犯人、林養賢の人生を辿りながら2人の人物像に迫る。精神科医という立場からの考察なので難しい部分もあるが、おおよそのことは理解できる。本書を読んでみるとまず、三島由紀夫の「金閣寺」がほぼ実際の事件通りのストーリーになっている事に驚く。かなり綿密に事件を調べ、犯人の心の中にも近づいていったのかと想像できる。
    病気と正気との境は何なのか。濃淡の違いだけで本質的な違いはないような気もする。そこに「芸術」や「美」などの要素が加わると、ある意味天才ほど病気に近づいていくのではないだろうか。狂おしいほどの「美」に対する固執に、2人の生い立ちや方向性は違えども近いものを感じる。「金閣を焼かなければならぬ」となるまでの心の不思議。最後は現実と小説で明確に違っているが、この小説の終わらせ方も見事だと思う。