さわや書店 おすすめ本
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no.1862017/10/25UP
フェザン店・長江おすすめ!
都立水商! 室積光/小学館文庫
ある文部省の役人の思いつきから生まれたと言われる都立水商。その名の通り、水商売について教える公立の学校だ。主人公の田辺は元々、都立の普通高校の教師だった。校長と教頭と、それぞれ別の理由で対立していたのだが、そのせいもあって、嫌がらせのように、都立水商への配属が決まった。他の教師も様々な理由で集まってきた。開校当時は新入生を確保することが何より急務だった都立水商は、今では誰もが知る学校となった。そんな高校に長きに渡って籍を置いた教師の回顧録だ。
水商売を教える高校だって!?と侮ってはいけない。僕はこの作品に、「教育の理想」を見た。もちろん、現場の教師からすれば「こんなうまくはいかない」と言われるようなことばかりだろう。それでも、こういう理想が実現すればいい、と思える教育環境だと感じた。「何を教えるか」ではなく「どう教えるか」によって生徒と教師の関係を切り結ぶ。そんな当たり前のはずなんだけど教育現場から失われつつあるように思える理想が描かれている作品だと思う。