さわや書店 おすすめ本

  • no.313
    2019/3/8UP

    本店・総務部Aおすすめ!

    進化の法則は北極のサメが知っていた 渡辺佑基/河出新書

    ニシオンデンザメの寿命は推定400年という。この長さは本文中の表現を引用すると、下記の通り。
    「――徳川将軍の時代が15代続いてついに終焉を迎え、幕末の動乱を経て明治政府が形成され、いくたびかのひどい戦争を経て日本国憲法が公布され、その後も数えきれない政治的動乱や自然災害や凶悪事件が起こり、そしてインターネットとコンビニエンスストアに囲まれた現代の生活が形成された。――」
    それと同じ長さである。
    「生物はなぜ多様か」という大いなる問いに対して、ニシオンデンザメとアデリーペンギンとホホジロザメを比較しながら全ての生物に共通するメカニズムを物理的に解く本書。フィールドワークに向かう旅の紀行文としても面白い。
    あと、本筋とは全く関係ない部分のカッコ書きで小さく、伊丹十三のエッセイが面白いという旨の記述があったので、次読んでみようと思う。