さわや書店 おすすめ本

  • no.86
    2016/11/1UP

    フェザン店・長江おすすめ!

    赤めだか 立川談春/扶桑社文庫

    立川談志という、50年に一人出るか出ないかと言われる落語の天才の弟子である談春が、弟子入りから真打ちになるまでの立川一家での修行時代を書いた作品だ。談春役を二宮和也が演じたことでも記憶に新しいだろう。
    立川談志は、硬直した落語協会を飛び出し、自ら「立川流」を創設する。どうやったら昇進出来るのか分からない落語協会の仕組みと違って、立川流はシンプルだ。
    「古典落語を50席覚えること」
    これが出来れば二ツ目に上がれる。そりゃあ弟子は必死で覚える。
    さて、立川流は、落語協会を飛び出しちゃったもんだから、寄席がない。落語家は寄席の手伝いをすることが修行みたいなもんで、前座は普通死ぬほど忙しいが、立川流の弟子はやることがない。談志の世話はしなくちゃならないが、それ以外は自分で何をすべきか考える。それが立川流。
    そんな立川流が生んだ天才の一人の、落語になるまでの道を描いたエッセイだ。