さわや書店 おすすめ本
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no.2602018/7/31UP
フェザン店・長江おすすめ!
賢く生きるより辛抱強いバカになれ 稲盛和夫+山中伸弥/朝日文庫
本書は、「京セラ」「第二電電(現KDDI)」などを創業し、「JAL」の再建にも携わった経営者・稲盛和夫氏と、iPS細胞の発見によりノーベル賞を受賞し、生物学研究の世界的トップランナーとして活躍する研究者・山中伸弥氏の対談だ。
二人の縁は、稲盛氏が創設した「京都賞」を山中氏が受賞したことにある。実際にはその6年前、山中氏が稲盛財団から研究助成金を受けた時に関わりが出来たのだが、実質的には京都賞からだ。京都賞は、「人のため、世のために役立つことをなすことが、人間として最高の行為である」という考えの元、優れた研究者や芸術家を顕彰する賞であり、現在ではノーベル賞の登竜門となる国際賞のひとつとして認知されている。山中氏を初め、京都賞を受賞した後にノーベル賞を受賞した研究者は6名もいる。
本書は、特に「落ちこぼれ」と周囲から思われている人が読むといいだろう。二人共、決して秀才や天才というわけではなかったし、彼らの周りにいる人も違った。秀才や天才でなければ出来ないことというのはもちろんある。しかし同時に、秀才や天才であるが故に出来ないことがある。そして、「落ちこぼれ」ならそれが出来る、という状況は、様々な場面で存在するのだ。