さわや書店 おすすめ本

  • no.69
    2016/9/20UP

    フェザン店・長江おすすめ!

    謎のチェス指し人形「ターク」 トム・スタンデージ/NTT出版

    本書は、1769年にフォン・ケンペレンという人物が作成し、当時の人々を熱狂させ、様々な有名人と関わりを持ち、現代の人工知能やコンピュターを生み出す端緒の一つとなった、「ターク」と呼ばれたチェス指し人形についてのノンフィクションだ。本書で描かれるタークはまず間違いなく、小川洋子「猫を抱いて象と泳ぐ」のモデルだろうと思う。
    タークは、ヨーロッパやアメリカのチェスの強豪を次々と打ち破る、恐ろしく強い人形だった。当時は、オートマンと呼ばれる自動人形が花ひらいていた時代。タークはそんな時代にあって、機械で動いていると謳われたオートマンの一つだった。
    本書では、何故タークが生み出されたのか、タークが生み出されるに至るオートマンの歴史、タークの所有者の変遷などと共に、タークというチェス指し人形に対して大衆がどんな反応を示し、またタークがどんな分野にどんな影響を与えたのか、ということが描かれていく。