さわや書店 おすすめ本

  • no.61
    2016/9/6UP

    フェザン店・長江おすすめ!

    藝人春秋 水道橋博士/文春文庫

    テレビで見る人たちのことを、僕らは、基本的にはテレビを通じてしか知ることは出来ない。ライブに行ったり、何らかの創作物に触れるなど、テレビ以外の場でも知ることは出来るが、いずれにせよ、僕らが彼らの「実像」を知ることが出来る機会は少ない。
    本書は、自らもお笑い芸人として芸能界に身を置き、身近で彼らを見ている者として、様々な芸能人の「実像」に可能な限り迫ろうとする作品だ。本書からは著者の、「この人達の、テレビだけでは捉えきれない姿を自分が活写せねば」という思いを感じることが出来る。自らが光源となって彼らを照らし、そこに出来る影までも絶妙に掬い取りながら、著者は芸能人の一面を描写していく。
    そのまんま東(東国原英夫)・甲本ヒロト・古舘伊知郎・テリー伊藤・北野武・松本人志・稲川淳二など、多彩な顔ぶれが揃う。著者の鋭い観察眼と、類まれな言語感覚が、彼らの新たな側面を引き出すのだ。