さわや書店 おすすめ本

  • no.466
    2021/7/3UP

    本店・総務部Aおすすめ!

    自伝からはじまる70章 田村隆一/思潮社

    繰り返して出てくる話が2つある。2つとも妙に心に残った。ひとつは酒好きの酒に対する礼儀正しさや、銘酒が有名になったら味が落ちた話で、もうひとつはロアルド・ダールの「あなたに似た人」。
    上手に酒を飲む事は意外と難しい。普通は痛い経験も積み、店や他の客から学びながらようやくどうやらといったところだろう。泣いたり騒いだり日頃の鬱憤を酒で晴らすようでは、酒に対しても店に対しても失礼だ。格好良くて様になる飲み方を常にする人は相当なる人物なのだと思う。今の風潮だとそういう雰囲気を見る機会もあまりないので説明のしようもないが、悪い例だけはいつの時代でもはっきりそれとわかる。いい酒飲みの人は、できれば良い例だけをなるべく若い人に見せてその文化を継承してほしい。自分もいつかそういう酒が飲めるようになれたらいいなと思う。
    「あなたに似た人」については次回。