さわや書店 おすすめ本

  • no.540
    2023/3/16UP

    本店・総務部Aおすすめ!

    考えるヒント 小林秀雄/文春文庫

    正直、3分の1程度しか理解できなかった。それでもなんとなくわかる気がするので、ゆっくりと時間をかけて読み返したい一冊。「考えるヒント」と「四季」と旧ソ連への紀行文という三部構成になっている。時代背景がこれほど違うのに今読んでも古びない気付きのある文章というのは、本物の証しだろう。個人的には「漫画」「良心」「お月見」などが分かりやすくていいエッセイだと思った。
    細分化された知識しか持ち合わせない、専門馬鹿という言葉がある。縦割り組織や現代のAI社会において人間の役割とは、幅広い経験と知性による全体像の把握と融合だと思う。著者のような天才的な直観や感性は、専門知識や合理主義などでは到達できない気がする。物事の本質をざっくりと見極める力。それは本や映画、芸術や音楽など一見何の関係もない知性の積み重ねから来るものではないか。今こそ文系の力が試される時なのだろう。
    最後の「ソヴェットの旅」ではどうしても今のロシア、ウクライナを思う。