さわや書店 おすすめ本

  • no.341
    2019/7/17UP

    本店・総務部Aおすすめ!

    罪と罰 フョードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー/新潮文庫

    例えば映画で言えば、『市民ケーン』や『東京物語』、『地獄の黙示録』或いは『ノーカントリー』などは、面白いかどうか以前に、絶対に避けて通ることのできない不朽の名作だと思う。本ならば、ノンフィクションではフランクルの「夜と霧」。ドストエフスキーなら本書か「カラマーゾフの兄弟」などは、一生に一度は読んでおくべき種類の名著だ。
    とはいえ、読書感想文課題図書みたいにあまり構えて読む必要はない。翻訳ものに付きまとう名前の呼び方に対する違和感など、細かい点はすっ飛ばしていいと思う。大まかなストーリーだけを追えれば十分だ。すぐに意味が判る事が重要なのではなく、まずは一度読んでおくという事が何よりも重要な点だと思う。時代の変化に関わらない普遍的な人間の本質を衝いているので、無意識にでも必ず心のどこかに永く残り、時間とともに人間的な厚さや深みを増していく。
    名作は後から効いてくる。