さわや書店 おすすめ本

  • no.156
    2017/6/28UP

    フェザン店・長江おすすめ!

    絶叫委員会 穂村弘/ちくま文庫

    歌人として活躍する著者は、本書をこんな風に捉えています。
    『名言集的なものをやってみようという意図で始めたのですが、実際に書き進むうちに、名言というよりはもう少しナマモノ的な「偶然性による結果的ポエム」についての考察にシフトしていきました。』
    本書には、瞬発力的なインパクトで惹きつけるものや、一瞬わからないけどじわじわくるもの、言葉としての使われ方がどうなんだろうと疑問を感じさせるものなど色んな言葉が登場します。そういう言葉に対して、言葉に対して独特の感覚を持つ著者が独自の視点で突っ込んだり、自分なりの違和感を表明したりしながら進んでいく作品です。
    美容院でよく聞く「おかゆいところはございませんか」や、トイレの張り紙でよく見かける「いつもきれいにご利用いただきありがとうございます」など誰もが知っているものや、あるいは著者の周辺で発せられた言葉など、様々な「ひっかかる言葉」を通じて、言葉に対する感度を高めていける一冊です。