さわや書店 おすすめ本

  • no.20
    2016/7/20UP

    本店・総務部Aおすすめ!

    素晴らしい一日 平安寿子/文春文庫

    よくデビュー作には「その作家の全てが入っている」と言われますが、本書の表題作がそのデビュー作で他5つの短編集になっております。タイトルはかなり明るく前向きな響きですが、ほぼ全ての話において素晴らしくない状況から入って、しかも事態はほとんど好転しません。それなのに読後感は素晴らしい。ダメな人物もたくさん出てきますがそれも含め、読後にはほほえましく感じるから不思議です。そういう意味では大好きな「インザプール」「空中ブランコ」等(奥田英朗著)の伊良部先生シリーズと共通する部分があるように思います。何ひとつ治療したわけでも解決したわけでもないのに心が軽くなるという点において。(平成28年7月現在は品切れ中です)