さわや書店 おすすめ本

  • no.73
    2016/10/4UP

    フェザン店・長江おすすめ!

    素数の音楽 マーカス・デュ・ソートイ/新潮文庫

    本書の縦糸は、リーマン予想という数学の難問であり、それを提唱したリーマン博士である。リーマン予想とは一体どんなものであり、リーマン博士はどうやってその予想を思いつき、それが数学の世界にどんな影響を与えたのかが描かれる。リーマン予想という、数学の世界に残っている難問の中でも、難易度・重要度共にトップクラスの予想が本作の中心にある。
    しかし、ただそれだけの話ではない。
    本書は、現代数学史を彩るスターたちの物語でもある。彼らがリーマン予想という難敵といかに闘いを繰り広げられたのかがメインで描かれるのだが、彼らの個別の業績についても触れられる。ガウスが子どもの頃にしたという有名な計算の話、ゲーデルの不完全性定理、カントールの無限論、ラマヌジャンによる分割数の一般項、RSA暗号、量子論との関わりなどなど、数学界のスーパースターたちが活き活きと描かれていく。レベルは高いが、読む価値のある一冊だ。