さわや書店 おすすめ本

  • no.79
    2016/10/18UP

    フェザン店・長江おすすめ!

    紋切型社会
    言葉で固まる現代を解きほぐす 武田砂鉄/朝日出版社

    『本書全体に通底するテーマでもあるけれど、どこまでも自由であるべき言葉を紋切型で拘束する害毒は、正しい・正しくないを越えて駆除すべきだと思っている。つまり、あらゆる“こうでなければならない”から、言葉は颯爽と逃れていかなければならないと思う』
    本書では、「全米が泣いた」「なるほど。わかりやすいです」「うちの会社としては」「誤解を恐れずに言えば」「逆にこちらが励まされました」など、ある場面で必ず登場する「紋切型の言葉」を様々に取り上げながら、その背後に見える人間性、社会構造、時代背景などを鋭くあぶり出し、批評していく。舌鋒は恐ろしいほど鋭く、頭を使わずに放たれた言説や、世の中をコントロールするために放たれた頭の良い人たちによる言説を、マグロの解体ショーでも見るかのように著者の冴え渡った言葉で解体していく。何気ない言葉から、ここまで社会を切り取ることが出来るのかと、衝撃を受けた一冊だ。