さわや書店 おすすめ本
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no.402016/8/2UP
フェザン店・長江おすすめ!
箱の中 木原音瀬/講談社文庫
痴漢の冤罪で逮捕された堂野。数万円の罰金を払うことを拒否し、無罪を主張し続けたために、執行猶予無しの10ヶ月の懲役に処せられた堂野は、失意のどん底にいる。それまで真面目一筋でやってきた自分の存在が否定されたような気がして、さらに、家族にも迷惑を掛けていることを気に病んでいる。
堂野と同じ「箱」に、喜多川という男が収監されていた。人を殺した、という噂があるが、定かではない。堂野は同じ「箱」の中で、喜多川というちょっと謎めいた男を関わることで、それまで経験したことのない関係性の中に絡め取られていく。
そう、この作品は、BL(ボーイズラブ)である。BL、というだけで拒絶したくなる気持ちも分からないではないが、本書は、BLというのがどれほど深い世界を描くことが出来るか、という好例なのだ。読まず嫌いはもったいない。