さわや書店 おすすめ本
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no.5472023/4/18UP
本店・総務部Aおすすめ!
町でいちばんの美女 チャールズ・ブコウスキー/新潮文庫
下品な短編がこれでもかと30話続き、さすがに食傷気味になる。閲覧要注意。でもなんだろう、この下衆なゴシップのようでいて振り切ったところの文学のような、やりすぎのコメディーのような。ハードボイルド調の語り口に、どうしようもない男達のどうしようもない会話。クズ野郎の中にもカス野郎の中にも最後に残る何かは、男の虚しさか哀しさか、もっと根源的な男の可笑しみか。表題作「町でいちばんの美女」がラストならば、終わり良ければすべて良しになったのかもしれないが、最初に来るからまた厄介だ。他が気になってしょうがない。ただ、これがラストだと最後までたどり着く自信はない。雰囲気としてはカルト的人気の映画『ビッグ・リボウスキ』や『インヒアレント・ヴァイス』に近いような気もする。