さわや書店 おすすめ本

  • no.159
    2017/7/18UP

    フェザン店・長江おすすめ!

    男の絆
    明治の学生からボーイズ・ラブまで 前川直哉/筑摩書房

    現代の日本社会では、「恋愛の延長線上に結婚がある」とか、「男は外で仕事、女は家庭を守る」というような、未だに根強く残り続けている考え方があります。そして多くの人がこれを、「日本古来の伝統的な考え方だ」と思っているだろうと思います。しかし本書を読むと、そのイメージは一変することでしょう。これら、現代まで残る恋愛観や結婚観の多くは、たかだか100年程度の歴史しかない、比較的新しい考え方なのです。そして本書は、その新しい恋愛観や結婚観によって、「男同士の関係性」がどう影響を受け、どうマイノリティに追いやられて行ったのかを明らかにしていきます。
    つまりこういうことです。「男同士の関係性」をマイノリティに貶める考え方は、たった100年程前に日本に根づいた考え方なのであり、そしてその歴史を詳らかにすることで、僕たちが無意識の内に「前提」として捉えている考え方を掘り下げていこう、ということです。「恋愛や結婚の当たり前」が覆される、という意味で、「男の絆」そのものに関心がない人にも是非読んで欲しい一冊です。