さわや書店 おすすめ本

  • no.135
    2017/3/21UP

    フェザン店・長江おすすめ!

    生物と無生物のあいだ 福岡伸一/講談社現代新書

    生命とはなんだろう、という一見簡単そうな問いかけが存在する。
    あなたなら、どう答えるだろうか?
    この問いが、実はなかなかに難しいのである。
    DNAが発見されて以降、「生命とは、自己複製を行うシステムである」という定義が生まれた。これは現象を良く表しているようにも思えるが、しかしウイルスというのはこの定義には上手く当てはまらない。「自己複製能力」だけでは、生命を説明しきれない。
    著者は、「生命とは、動的平衡にある流れである」と定義し、「動的平衡」という新たな概念を生み出した。本書は、「動的平衡」とは何であり、著者がいかにしてその概念にたどり着いたのかを、科学者らしくない流麗な文章で綴られた作品だ。比喩が実に的確で、文章の端々から、素人にも伝わるように易しく説明しようという意識を垣間見ることが出来て、非常に読みやすい。生命というものについて改めて考えさせる一冊だ。