さわや書店 おすすめ本

  • no.259
    2018/7/31UP

    本店・総務部Aおすすめ!

    生きるとか死ぬとか父親とか ジェーン・スー/新潮社

    かなりの紆余曲折を経て本書を書く境地に至ったのだろうと推察できる。短いエッセイの中でそんな逡巡がどこともなく漂う、父1人娘1人による最少単位の自称「限界家族」の歴史。
    どんな家族であれ、他人には窺い知ることのできない固有の空気感があり、家族である以上、完全に客観視することはできない。決して美談にしないように書いているが、それも含めて著者とご両親の美学というか、家風が表れているように思う。
    良い面と悪い面というのは表裏一体だ。良い面を残して悪い面だけを無くする事など不可能である。本書は相当にリアルな話で、いい話などほとんど書いていないにもかかわらず、ご家族の話は魅力的でどこか格好良く、それを書く著者もまた、十分に格好いいと思う。
    墓参りの季節に本書を思い出す。