さわや書店 おすすめ本

  • no.82
    2016/10/26UP

    フェザン店・長江おすすめ!

    理性の限界
    不可能性・不確定性・不完全性 高橋昌一郎/講談社現代新書

    本書は、『理性』というキーワードで、政治・経済・数学・物理・哲学・宗教などありとあらゆる分野について書かれた作品だ。メインで描かれるのが、「アロウの不可能性定理」「ハイゼンベルグの不確定性定理」「ゲーデルの不完全性定理」の三つで、これだけ聞くと、それだけで拒絶したくなる、という人もいるだろう。
    しかし本書は、一風変わった形式が取られた作品だ。それが本書を、圧倒的に読みやすくしている。
    本書は、『論理学者』『科学主義者』『数理経済学者』『会社員』『学生A』と言ったような様々な人々が集う架空のシンポジウムという設定で、会話だけで構成されている。専門的な話も会話なら読みやすく、また『会社員』や『学生A』といった素人が素朴な疑問を出してくれるので、難しい話のはずなのにすいすい読めてしまう。書店で手に取ってどこでもいいから数ページ読んでもらえば、本書の魅力が伝わるはずだ。