さわや書店 おすすめ本
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no.5802024/1/30UP
本店・総務部Aおすすめ!
滅びの前のシャングリラ 凪良ゆう/中央公論新社
震災、戦争、気候変動、事件、事故…。そんな報道を見るにつけ今生きている事は、実は当たり前のことではないのだと改めて思い知らされる。地球に住む生命の1種族として、生きることは与えられた当然の権利などでは決してない。最後の瞬間が数日後確実に訪れるとしたら、自分なら何をするだろうか。
本書は小惑星衝突により地球が滅びることが確定した世界での、主要登場人物4人による4編の連作短編集だ。子供世代、親世代、男女とバランスのとれた4話が緩やかに繋がるので、どの世代が読んでも唸らせる内容になっている。
明日死ぬなら何が食べたいかという問いに冷やし中華と答えた本書の登場人物がいたが、ちょっとわかる気がする。旨いのかまずいのかよくわからないような高級品を食べたところで今さら虚しい。食べ慣れた好きなものの方が、最後の時にはふさわしいように思う。