さわや書店 おすすめ本

  • no.108
    2016/12/27UP

    フェザン店・長江おすすめ!

    消された一家
    北九州・連続監禁殺人事件 豊田正義/新潮社

    本書は、北九州で実際に起こった凶悪な事件を扱ったノンフィクションだ。
    事件は、恭子という少女が祖父母の元に逃げ出してきたことがきっかけで発覚した。
    恭子の証言は驚くべきものだった。恭子の父親は監禁され衰弱死させられた。その後、ある一家6名をマンション内に監禁し、家族内でお互いを殺させ合い、その死体をバラバラにして棄てた、というのだ。
    当初は恭子の証言を信じられずにいた捜査員たちも、発見したアジトの異様さからとんでもないことが起こっていることを感じ取る。
    そして主犯二人が逮捕され、前代未聞の「死体なき殺人事件」の裁判が始まるのだ。
    著者はその一審の裁判をすべて傍聴し、独自の取材を重ねた上で、この異様な事件がどのように起こり、何故彼らはそうせざるをえなかったのかという核心に肉薄しようと試みる。
    人間の想像力を遥かに超えた悪行に、あなたは目を疑うことだろう。