さわや書店 おすすめ本

  • no.148
    2017/5/16UP

    フェザン店・長江おすすめ!

    流れとかたち
    万物のデザインを決める新たな物理法則 エイドリアン・べジャン+J・ペタ―・ゼイン/紀伊国屋書店

    本書は、熱工学の世界的権威である著者が提唱している「コンストラクタル法則」について書かれたものだ。この法則自体は、僕の理解では説明することが難しい。
    法則自体をうまく認識することは難しいが、著者が提唱するこの法則は、科学の細分化された領域を無効にする、という点で非常に興味深い。地球上に存在するありとあらゆるものを「有限大の流動系」と捉えることで、その存在にシンプルな理由を与えることが出来る、と著者は主張している。
    またこの法則は、「存在理由」を説明する、という点でも面白い。例えば、「木というものが何故存在するのか?」は、これまでの科学では説明不可能だが、この法則ではそれに理由を与えることが出来る。
    理論自体は非常に難しいが、扱われている実例は興味深い。例えばこの法則は、「なぜ、短距離走は黒人が強いのに、水泳は白人が強いのか」を説明してしまう。今後この法則が、科学の世界で主流となる日が来るかもしれない。