さわや書店 おすすめ本
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no.652016/9/6UP
本店・総務部Aおすすめ!
洋食セーヌ軒 神吉拓郎/光文社文庫
短編はいい。余分なものがなくすっきりとしているし、一発で好き嫌いがはっきり判る。本書は1話10数ページ程のごく短い短編集なので、試しにどれか読んでみてほしい。まずは出てくる料理のどうしようもなく旨そうなこと。そして多くを語らない上品なストーリーが、さりげなく料理を彩っている。食欲の秋、読書の秋にはぴったりの大人の一冊だ。本書は30年も前に書かれた本なので、時代の価値観や社会的背景などかなり違うはずなのに、食べものに対する感覚は時代を超え、全く古さを感じさせない。様々な美食が出てくる中で、もし明日世界が終わるとして最後にどれか1つとするならば、自分なら散々迷った挙げ句にシャケ弁かな。そんな事を思ったりする。