さわや書店 おすすめ本

  • no.120
    2017/1/31UP

    フェザン店・長江おすすめ!

    死のテレビ実験
    人はそこまで服従するのか クリストフ・ニック+ミシェル・エルチャニノフ/河出書房新社

    この作品は、テレビが一台でも家にある人は全員読んだ方がいい作品だと思う。
    2009年、フランスのテレビ局がある実験を行った。それは、1960年代に心理学者・ミルグラムが行った、通称「アイヒマン実験」と呼ばれるものを現代的に作り変えた実験だった。
    架空のクイズ番組のパイロット版だと言って集められた被験者は、クイズの出題者となり、サクラである解答者が間違える度に電気ショックを与えるよう指示される。間違える度に電圧は上がり、最後には解答者を死に至らしめる電圧にまで達すると説明される。その実験で、被験者の何%が最後まで電圧を与え続けたか。
    実に81%もの被験者が最後まで電圧を与え続けたのだ。
    「人間の服従性」と「テレビの権威」について調べるためのこの衝撃的な実験についての詳細が描かれている作品だ。自分は大丈夫、だなんて思わない方がいい。あなたもきっと、最後まで電圧を与え続けてしまう一人に違いないのだから。