さわや書店 おすすめ本

  • no.468
    2021/7/15UP

    本店・総務部Aおすすめ!

    歴史のミカタ 井上章一・磯田道史/祥伝社

    試験などに関係なく、もっと人間に興味を持って歴史を学ぶべきだったと、本書を読んで今さらながらそう思う。表舞台のきれいな歴史と共に、実際どうだったのかを深く考える歴史。誰によって書かれた歴史なのか、立場を逆にすればどう見えるか、事実関係とその後の流れ。その光と影。歴史を学ぶとは、人間はいかなるものかを学ぶ事であり、歴史に学ぶとは、いかに生きるかという現実的な問いだった。
    話は全く変わるが、『ブルーベルベット』という映画がある。鬼才デヴィッド・リンチ監督らしい清濁併せ呑む異様な映画だ。この中で表現されているものは、表面の美しさの裏に隠された醜さ、また醜さの裏に隠された美しさ。人間の二面性と、世の中の不思議。”It’s a strange world.”
    名作映画や名作文学には、事実関係だけを示しそれが何を意味するのかを説明することもなく感じさせるものが多い。歴史を読み解く事は脳内の作業としては、優れた文学作品を読み解く事に近い部分があるのかもしれない。それもひとつの歴史のミカタ。