さわや書店 おすすめ本
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no.3112019/2/11UP
本店・総務部Aおすすめ!
歴史という教養 片山杜秀/河出新書
人間誰でも一回限りの不可逆性の中で今を生きている。歴史も二度と繰り返す事のない唯一の出来事であり、歴史から直接現在に学べることはそう多くはないのかもしれない。しかし、自分自身が過去の実体験から学び未来を考える事は、最小単位での歴史から学んでいる事に他ならない。その範囲を人類の遠い過去にまで広げ、その経緯や経験に思いを馳せる事は、今だけを考える人よりも過去‐現在‐未来に対する認識の幅や奥行きが加わり、思考への厚みや深さを増す。それを教養と呼ぶのだろう。と、およそ教養のない自分にさえ、歴史への興味を抱かせる本である。
本書を読んで、学生時代まともに歴史を学ばなかったことに後悔を感じている自分自身もまた、今歴史から痛烈に学ばされているという事なのだろう。何がいつ降りてくるかは誰にも判らない。ただ、降りてきた時がいつであれ、その時がいつもベストタイミングである。