さわや書店 おすすめ本

  • no.66
    2016/9/13UP

    フェザン店・長江おすすめ!

    暇と退屈の倫理学 國分功一郎/太田出版

    本書は、「なぜ人は退屈するのか?」「なぜ人は暇だと苦しむのか?」という疑問を解き明かしていく一冊だ。著者はこの疑問を、哲学や人類史、あるいは経済との関わりなどを交えながら深めていく。まさに「暇」と「退屈」についての話なのだ。難しそうな本だ、と感じるだろうか?いや、そんなことはないのだ。たぶん高校生でも十分に読める一冊だろう。
    これまで様々な哲学者や思索家が「暇」と「退屈」について思考を巡らせていたということ自体も面白いし、社会主義・資本主義といったものと「暇」「退屈」がどう結びついていくのかも圧巻だ。知的好奇心が恐ろしいほどに満たされていく、人間が生きていく上での本質を抉りだす驚異的な一冊だ。