さわや書店 おすすめ本

  • no.367
    2019/12/9UP

    本店・総務部Aおすすめ!

    日本を支えた12人 長部日出雄/集英社文庫

    小津安二郎『東京物語』――何という事もない日常の中に潜む、人間の醜さも含めたかけがえのなさ。その美しさを画面描写だけで感じさせる、世界的評価の高い日本を代表する映画。
    木下惠介『楢山節考』――民話的・伝説的な雰囲気を十分に醸し出すため、全編をあえてリアルではなく歌舞伎的表現方法で統一。日本でしか生まれ得ない映画芸術の、ひとつの到達点。
    本書でも紹介されている上記の映画は、日本人特有の心の動きと美的感覚を、研ぎ澄まされた手法で描かれている。「もののあわれ」を知る、そんな文化・芸術を生み出す土壌とは何なのか。12人の人物を基に日本を古代から考察する。
    正直、歴史的な事をあまりよく知らない部分も多かったので、本書の内容をすべて正しく理解したとは言えない。ただ、今年は即位礼正殿の儀などもあり、日本古来のものに思いを馳せるにはいい本だと思う。とりあえず、伊勢神宮や東大寺、法隆寺など今一度じっくりと眺めてみたい。それらは若い頃よりもむしろ、大人になってからこそ見るべきものだろう。それと、青森はやはり奥深い。