さわや書店 おすすめ本

  • no.472
    2021/8/14UP

    本店・総務部Aおすすめ!

    日本の深層 梅原猛/集英社文庫

    先日観た午前十時の映画祭の『2001年宇宙の旅』冒頭シーンを思い出す。人類の起源のような遥か彼方の痕跡が、どこか現代の人間にも繋がっているような、遠い記憶に想いを馳せる。
    本書は小難しそうなタイトルだが専門用語などの退屈な話ではなく、紀行文として読みやすい。太宰治や宮沢賢治などの文豪から、「ねぶた」や「なまはげ」、マタギからアイヌまで幅広い考察がされている。
    「北海道・北東北の縄文遺跡群」が世界遺産に登録された。世界的に見ても珍しい、高度に発達した縄文文化が栄えた一万年以上もの間、東北は日本の文化的中心地だったという。お盆の風習や、自然に対して八百万の神を崇める日本人特有の宗教的感覚も、遡ればこの時代の文化がどこか脈々と受け継がれているのかもしれない。
    全く関係ないが、今読んでいる別の本の巻頭にこんな言葉が記されていた。
    第三次世界大戦がいかなる兵器による戦いになるかは分かりませんが、第四次世界大戦は棍棒と石での戦いということになるでしょう。――アルベルト・アインシュタイン