さわや書店 おすすめ本

  • no.315
    2019/3/21UP

    本店・総務部Aおすすめ!

    新版 ダメな議論 飯田泰之/ちくま文庫

    10年、あるいは20年というスパンで考えると、実際のところ本当はどうだったのかを示す各種データが出揃い、事実がようやく明らかになるということがある。その意味では平成も終えようとしている今、出版されてから12年後の文庫化というのは過去を冷静に振り返り分析することのできる、いい期間なのかもしれない。
    本書に載っている「ダメな議論」の例文が非常にもっともらしく、今でも何気なく読む分には思わず納得してしまいそうなものが多い。現在では明確に事実誤認とされるものであったとしても、作文しだいでは妙な信憑性が生まれてくるから不思議である。なんとなく「ダメな議論」に押し流されてしまわないように、本書では5つのチェックポイントを設定し解説している。
    文庫化にあたり、「ネット時代のダメな議論」を加筆。ネットでは自分にとっての心地いい議論だけがどんどん集まってくるので、偏りのある一部の常識だけが先鋭化してしまう傾向があるという。たまには外の空気を吸いに街の本屋へ足を運び、ざっと全体を眺めながら興味の範囲外にも触れてみる事が、軽い足の運動とともに頭をニュートラルに切り替える最善の方法だと思うが、どうか。