さわや書店 おすすめ本

  • no.303
    2019/1/16UP

    本店・総務部Aおすすめ!

    料理人 ハリー・クレッシング/ハヤカワ文庫NV

    食と人間の欲望を題材にした、何とも言えない皮肉に富んだブラックファンタジーというか、喪黒福造ばりにダークな料理人の話。読む人の環境、年齢、性別、立場などによってその解釈は大きく異なるような気がする。多くの見方が考えられる幅のある物語だ。
    関係ないが久しぶりに「午前十時の映画祭」へ行き『チャンス』という映画を観た。これは話を受け取る側がどう解釈するかによって、その捉えられ方が大きく変わってくるという物語だった。ゲラゲラ笑える話ではないものの、ジャンルでいえばコメディとかファンタジーということになるのだろう。シニカルな笑いが、人間というものの愚かさや愛おしさを含めた奥深い可笑しみを生んでいる。
    人間誰もがある意味、喜劇性と悲劇性を内包している。同じ1つの事象でもそれをどう見るかは、受け取る側の見解しだいである。