さわや書店 おすすめ本
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no.4812021/10/11UP
本店・総務部Aおすすめ!
文学部の逆襲 波頭亮/ちくま新書
人類の歴史、政治システム、経済活動を非常に長いスパンで見つめた大局観のある考察だと思う。あらゆる面で、近視眼的な対症療法ではもはや解決できない、変革の時期に現代はあるのだろう。技術革新と共に、それらを使ってどういう方向に向かうべきなのか。人間にとっての真・善・美は何なのか。ライフスタイルを唯一変え得るその知性は、技術そのものにあるのではなく文学・芸術方面にヒントがある。技術革新と一見無関係のように見える「物語」は、時代の転換期にこそ重要な素養だ。
関係ないが本書を読んでいる中で、映画『裏切りのサーカス』のこんなセリフを思い出した。英国諜報部にいた主人公が、宿敵ソ連のスパイと会った時の回想。
――“君も私もそう違いはない。長年互いの体制の弱点を探る仕事をしてきた。どちらの体制であれ、大した価値はないと認める潮時だろう?” “彼は言葉を発しなかった。ひと言も”――