さわや書店 おすすめ本
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no.4242020/10/12UP
本店・総務部Aおすすめ!
手塚治虫の山 手塚治虫/ヤマケイ文庫
『火の鳥』のラストシーン。
「文明をどんどん進歩させて、結局は自分で自分の首をしめてしまう。でも今度こそはと信じたい。今度の人類こそどこかでその間違いに気がついて、生命を正しく使ってくれるようになるだろう」と締めた。
残念ながら現代でも、その間違った方向にどんどん進歩し続けている気がする。そもそも人間とはそういう意味で、ある種の愚かさを最初から組み込まれた生き物なのかもしれない。
山をテーマにしたアンソロジーの本書は『火の鳥』に至る源流のようなものを感じさせる。超然とした自然に対する人間の愚かさや愛しさ。山や木や物さえも、人類と同等にひとつの命として捉えた時の自然観が人間の業を際立たせ、自然の厳しさと共に生命の尊厳を伝えている。
日本のアニメ文化の奥深さ、その原点が著者なのだろう。