さわや書店 おすすめ本

  • no.544
    2023/4/3UP

    本店・総務部Aおすすめ!

    悲しみの秘義 若松英輔/文春文庫

    桜が咲き、新しい門出の季節。しかし春になると、ふと気が沈むことがある。心が浮き立つような時期のはずなのに、なぜか時々、自分だけがダメな気がして落ち着かない。私だけでなく世間のざわめきを横目に、内なる悲しみに暮れる人も少なからずいることだろう。本書がそんな人の心に届くといいなと思う。
    暗闇の中でしか見えない光。悲しみはその光に映し出される事で見えてくる自己を再認識させてくれる。かけがえのない喜びを求めて、あるいは忘れないで生きていくのもいいだろう。一方で、かけがえのない哀しみというのは、喜びの中では知り得ない本当の“かけがえのなさ”の意味を知り、大切なものの存在を前よりもっと確かな事実として近くに感じることができる。
    言葉では語ることのできない想い。暗闇でしか見ることのできない景色。人生を俯瞰した時、その小さな光源は悲しみを知る人にのみ与えられる、唯一の確かな希望だと信じたい。
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