さわや書店 おすすめ本

  • no.144
    2017/5/2UP

    フェザン店・長江おすすめ!

    快晴フライング 古内一絵/ポプラ社

    元々水泳部が存在しなかった弓が丘第一中学校に水泳部を創設し、たった2年で各種大会で記録を生み出すまでの部活にしたタケルは、交通事故で死んでしまった。一人で泳ぐことにしか興味のなかった龍一は、タケルのような求心力もなく、顧問の柳田から愛好会に戻すと宣告されてしまう。不用意なひと言でさらに退部者を出してしまう結果になった龍一。売り言葉に買い言葉で顧問の柳田と約束してしまった、水泳部存続の条件。それは、市内で行われる水泳イベント・弓が丘杯のリレーで優勝することだった…。
    部員集めからスタートしなければならない龍一が弓が丘杯で優勝するなどほぼ不可能だろうが、彼らはその困難なミッションに挑む。この物語はそれだけではなく、ある人物の抱えている問題が同時並行で描かれ、水泳部の夢とその人物の夢がオーバーラップする形で物語が展開していく。生きづらさを抱えたまま全力で前に進もうする若者と、それをバックアップする面々の友情が熱い物語だ。