さわや書店 おすすめ本

  • no.366
    2019/12/2UP

    本店・総務部Aおすすめ!

    庭とエスキース 奥山淳志/みすず書房

    北海道の大自然の中で、自給自足を目指し生活していた孤高の老人・弁造さん。本書は著者と弁造さんの14年間にもわたる交流を通じ、生きること、老いること、死ぬことの意味を深く見つめた手記である。シンプルで力強い弁造さんの言葉やその生き方に、写真家である著者自身の解釈も加わり、非常に陰影のある味わい深い一冊となっている。
    本書を読んでいて映画『ストレイト・ストーリー』を思い出した。巨匠デイヴィッド・リンチ監督の中では唯一と言っていい、安心して万人にお勧めできる映画である。
    老人。自分にはまだ関係ないと思っていても、老いや死は必ず全ての人に訪れる。人生の大先輩の話に耳を傾けることは、たとえそれがどんなものであれ、聴いておいて損はない。虚実が入り交じる世の中にあって、本当に大事なものは何なのかを、問わず語りに身をもって教えてくれる。