さわや書店 おすすめ本

  • no.451
    2021/2/27UP

    本店・総務部Aおすすめ!

    特集:流通 広告Vol.415 『広告』編集部/博報堂

    東日本大震災から10年。
    当時、痛烈に感じたのは、電気、水道、ガスと同じく、物流とはまさにライフラインだという現実だった。ネットでどんなに便利な世の中になろうとも、実際にモノを運ぶ人がいなければ何の役にも立たない。徐々に物流が回復してきた時のありがたさは、止まってみて初めて実感する感動だった。
    本書はメーカーから倉庫、卸売、運送会社を経て、小売、そして消費者の手に渡るまでの一連の流れを余すところなく網羅した一冊だ。流通の歴史から今のコロナ禍で売上が伸びているネット通販、梱包材としての段ボールメーカー、さらに音楽や映画などの現状、そして本の流通。川上から川下へのあらゆる取材を通じて、現代を考えさせられる。
    小売店が全てネットに変わり、街からリアル店舗が完全に無くなるという事はないだろう。そんな世界はまさにディストピアで、誰も望んではいない。ただし、便利さと快適さだけを求めて消費行動をしているうちに、知らぬ間にディストピアに近づく可能性はあり得る。リアル店舗は厳しい状況が続いているが、ネットとリアルには最適なバランスがあると思う。今厳しいエンタメ業界も、旅行関係も、飲食店も、そして街の本屋も、なんとか残らなければならない。