さわや書店 おすすめ本

  • no.621
    2025/4/25UP

    本店・総務部Aおすすめ!

    実さえ花さえ 朝井まかて/講談社文庫

    著者のデビュー作、江戸の種苗屋を営む花師の物語。草木や花を愛でるための品種改良が江戸時代の職人によって作られ、現代にも通じているのが興味深い。その美しさ、儚さ、逞しさは、時代は違えども同じように人の心を打つのだと、当たり前ながら感慨にふける。それにしても、粋な話だ。
    本を読む事は心に新種の種を蒔き、苗を植えるようなものかもしれない。どう育つかは自分次第。少なくともAIで自分用にカスタマイズされた情報よりは、自分の中には無かった何かと混ざり合い、より強く美しく育つような気がする。
    染井吉野か。今日の盛岡は花吹雪が舞っている。