さわや書店 おすすめ本
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no.382016/8/2UP
フェザン店・長江おすすめ!
叫びと祈り 梓崎優/創元推理文庫
殺人事件が起こって、動機や手法が解明され、犯人が炙りだされる…。
というような単純なミステリでは、ない。
本書で切り取られていくのは、「価値観の相違」だ。異なる文化的背景を持つ者がいて、両者の間の価値観の違いが浮き彫りになっていく。
確かに、何らかの事件が起こり、それが解き明かされていくミステリではある。しかしその過程で、読者が想像もしなかったような価値観が描かれていく
例えば、冒頭の「砂漠を走る船の道」では、「何故砂漠のど真ん中で人を殺さなければならないか」に、驚くべき理由が与えられる。容疑者は3人ほどしかいない。殺人を犯せば、すぐに絞りこまれてしまう。しかも砂漠のど真ん中だ。そんな状況で、何故殺人という手段を取らなければならないのか。その価値観に、あなたは驚愕するだろう。
ただのミステリだと思ったら火傷する、新人のデビュー作とは思えない良作だ。